名古屋地方裁判所 昭和43年(ワ)3048号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔事実説明〕本件は家屋明渡請求事件であるが、被告は『抗弁(二)』として、「被告は、昭和二三年頃より昭和四三年までの間に合計金四八万三〇〇〇円を本件家屋の修繕費として出したものであるから、仮りに原告の請求が認められるとしても右金員の返還を受けるまで本件家屋を留置する。」と抗争したところ、原告はこれに対し、「抗告(二)は否認する。そもそも本件家屋の賃借人でない被告が本件建物の修繕をする筈がない。」。と答えた。
本判決は、「被告の本件家屋に対する占有の関係は当初は賃借人Xの履行補助者、占有補助者、ついでX死亡後は相続人の一人であるY(被告の内縁の妻)の履行補助者、占有補助者たるにすぎなかつたものといわざるをえない。」と説示したうえ、前記・抗告(二)について次のように説示する。
〔判決理由〕抗弁(二)について判断するに、そもそも賃借人の履行補助者、占有補助者にすぎない被告が、民法第六〇八条もしくは第一九六条による費用償還請求権を有するはずがないから主張自体失当といわざるをえない。又たとえ右の点をさておくとしても被告が作成したことにつき争いのない乙第六号証および被告本人尋問の結果だけでは、乙第六号証に記載されている金額の修繕費等がはたして支出されたか否かにつき疑問があり、右支出を認めることはできず他にこれを認むべき証拠もない。以上いずれにせよ、抗弁(二)は理由がない。(笹本忠男)